http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/1/21831.html 
米国では2度の巨大ハリケーン上陸で、高波が退いたあとの沿岸地帯にマナティーやヘビウナギなど、ふだん陸上では見られない奇妙な生き物が打ち上げられたという報告が相次いだが、ニュージーランドのビーチに現れたのは規模が違う。

  ニュージーランド北部オークランド周辺は、先住民族マオリ族に由来する地名がたくさん見られる自然豊かな場所だが、その中のひとつ、ムリワイビーチにクジラぐらい大きなモンスターが打ち上げられた。

  発見したのは地元に住むメリッサ・ダブルデイさん。散歩に訪れたビーチに横たわる巨体を遠くから一瞥して、「あ、クジラの死骸の漂流ね」。…しかし、風が吹くたびに表面がサワサワと動くのに気づき、こわごわ近寄ってみると、全員がドレッドヘアに覆われているのに気づいた。

 「まるでボブ・マーリーだと思いました」とメリッサさん。あたりに漂う腐敗臭にもめげず、そばで写真を撮影。その場でSNSに投稿すると、直後から大反響があった。

  その結果、ニュージーランド海洋科学協会の専門家が、「グースネック(ガチョウの首)と呼ばれるフジツボの一種だ」と結論づけた。黒いニョロニョロ部分には、ところどころに二枚貝のような固い殻が付いていて、それがますますドレッドヘアの飾りのようだが、その部分からは小さな触手が飛び出している。

  メリッサさんが違う角度から怪物を撮った写真を見ると、ドレッドヘアの間からささくれ立った樹皮ものぞいており、おそらく流木にへばりついたフジツボが、長い年月をかけてこれほどまでに増えたのだろうと推測されるという。

  フジツボは粘着力の高いタンパク質を分泌することで、天然の接着剤として磯や船の底にびっしりと張り付くことで知られる甲殻類だが、グースネックは、スペインやポルトガルでは「甘みがあって美味しい」と食材として珍重されている。

  というのも、キリスト教ではかつて、特定の曜日を「肉食を禁じる日」と定めていたため、肉の代用品として「ガチョウの首」の名前を持つフジツボを食べていたという逸話が伝えられているからだという。